家に害獣が棲みついたときは、できるだけ早く駆除することが大切です。しかし、どうしてもかわいそうに思ってしまい、駆除をためらう方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、害獣駆除をしなければいけない理由や、野生動物との共存を目指す方法などについて解説します。
目次
「害獣」と呼ばれる野生動物には、さまざまな種類があります。アライグマやハクビシンなど見た目がかわいらしい野生動物も含まれており、「駆除なんてかわいそう」「かわいいから、このままにしておきたい」と思う方も多いでしょう。
しかし、彼らが害獣として駆除対象になっていることには相応の理由があるのです。まずは、害獣を駆除すべき主な理由を7つ解説します。
害獣駆除をすべき理由のひとつとして、生態系への悪影響が挙げられます。たとえば、近年被害の増加が懸念されているアライグマは、もともと日本にはいなかった「特定外来生物」です。
特定外来生物が棲みつき繁殖すると、在来種の動物がエサを取れなくなってしまったり、植物が食い荒らされてしまったりします。その状況が長引けば、在来種の動植物が絶滅し、生態系が大きく変わってしまう可能性があるのです。
また、在来種であれば、いくらでも増えてよいわけではありません。最近、日本に古くから生息しているニホンジカやイノシシの個体数が増加したことが原因で、希少な植物が食べつくされるなどの被害が拡大しています。
害獣駆除には、こうした特定の野生動物のみが個体数を増やし、生態系のバランスが崩れるのを防ぐ目的があります。
害獣駆除をしないと、希少な動植物が絶滅の危機にさらされるリスクもあります。たとえば、長崎県の対馬では個体数を増やしたニホンジカが、「ヌスビトハギ」という植物を食い荒らしてしまいました。
その結果、対馬のみに生息し、ヌスビトハギを食草とする「ツシマウラボシシジミ」という希少なチョウが、絶滅の危機に瀕しているのです。対馬以外でも、アライグマやハクビシンなどの害獣が、希少なサンショウウオを食べてしまうなどの食害が報告されています。
このまま放置すれば希少な動植物が絶滅してしまうおそれがあるため、厳密に調査をおこなったうえで、適正な個体数に調整する必要があるのです。
害獣が増加すると、農作物も深刻な被害を受けます。害獣のなかには、果物や野菜などを好む動物が多くいます。とくに人間が育てる果物や野菜は味がよく、入手も簡単であるため、何度も狙われるケースが多いとされています。
農林水産省は、令和6年度(2024年)の野生動物による農作物被害が、前年より24億円増加したと発表しました。(出典:農林水産省「農作物被害状況」)
農作物が害獣被害に遭うと、収穫量が減少するため農家がダメージを受けます。さらに害獣対策にかかったコストは販売価格に転嫁される傾向があるため、販売価格が高騰して物価高に追い打ちをかけるかもしれません。
このような事態を防ぐためにも、農作物を狙う害獣を駆除する必要があります。
「野生動物は自然の一部」と考えている方は多いでしょう。しかし、個体数が増え過ぎると、野生動物が環境破壊の要因になる場合があります。
実際に、シカが増え過ぎた森林では、土壌の流出や裸地化(らちか:植物がなくなり土がむき出しの状態になること)が問題視されています。シカが多過ぎてエサが不足し、手当たり次第に植物が食べられてしまうためです。
本来、シカはササやどんぐりなどを食べますが、エサが足りなくなると落ち葉や木の皮、木の苗まで手当たり次第に食べるようになります。そうして、その一帯の植物が消失し、裸地になってしまうのです。
木や草などの植物には土壌を支える役割があるため、植物がなくなれば土壌の流出が進み、最悪の場合土砂災害が起こるおそれがあります。もちろん、シカ以外の動物が増えた場合も同様の問題が発生するので、適切な個体数に抑えるための駆除が必要になります。
害獣駆除をおこなわないと、害獣被害が拡大する問題もあります。当然ですが、駆除しなければ、さらにエサを求める動物の数が増えるからです。
また、一定の範囲内のエサを食べつくすと、エサを求めて新たなエリアに移動するため、次はその場所の環境が破壊されてしまいます。
庭や畑が餌場に認定され、何度追い払っても野生動物が来てしまうこともあるでしょう。自分の土地だけでなく、近隣にまで被害が広がるかもしれません。
動物は「ここはエサが豊富だ」「安全だ」と感じると行動がエスカレートしていくため、そうなる前に駆除することが大切です。
山や森林にいるなら、自分には関係ないと思う方もいるかもしれません。しかし、害獣には家の中にまで侵入してくるものもいるのです。
家に害獣が棲みつくと、騒音や悪臭に悩まされたり、ノミやダニなどが発生して衛生面の問題が発生したりします。さらに害獣の多くは病原菌を保有しているため、健康面の被害が出るおそれもあります。
また、最近はクマによる人身被害が増加していますが、アライグマやハクビシンなどの野生動物も、危険を感じれば襲ってくる場合があり、大変危険です。かわいそうだからといって害獣駆除をしないと、普通の生活が脅かされるリスクがあります。
「駆除」というと、人間が一方的に野生動物を攻撃するイメージをもつ方もいるのではないでしょうか。しかし、害獣駆除には、「人間と野生動物の共存の実現」という目的もあります。
どの動物も、豊かな生態系や生物多様性を形成・維持する一員です。しかし、増え過ぎれば環境を破壊し、生態系を壊す原因になってしまうため、多過ぎず少な過ぎない状態を維持しなくてはなりません。
人間が介入し、野生動物の個体数を調整することに違和感を覚えるかもしれません。しかし、地球上に人間が存在している以上、人間と野生動物の共生を考慮した対策が必要なのです。

近年、害獣による人身被害や農作物への被害などが増えているとお伝えしましたが、そもそもなぜ被害が増加傾向にあるのでしょうか。ここでは、害獣被害が増える3つの原因について解説します。
害獣被害が増えた大きな要因のひとつが、野生動物が棲むエリアと人間の居住エリアが近づいたことです。
昔は薪を集めたり、山菜や木の実を採取したり、狩猟をおこなったりと、人間が山や森林に出入りする機会が多々ありました。そのため、野生動物と人間がお互いに警戒し合っていたのです。
また、自然と人間の居住エリアの間には田畑があり、野生動物が簡単に入ってこられないような環境が作られていました。
しかし、都市化や高齢化などによって山や森林に出入りする人の数が減り、田畑が放置されることが増えた結果、野生動物との緩衝地帯がどんどん失われていきました。そうして野生動物が、徐々に人間の居住エリアに進出するようになってしまったのです。
かつての日本では、戦後の復興を目的に、スギやヒノキなどの植林が積極的に進められました。しかし、山間部の人口減少に加え、安価な輸入木材の登場によって国産の木材の需要が減ったことから、山が適切に管理されなくなっています。
そうして山が荒れると野生動物の生息域が広がるため、その分個体数が増え、人間の居住エリアに現れるようになっています。
人慣れした個体が現れたことも、害獣被害が増えている要因です。高齢化が進む日本では、ハンターも高齢になり、野生動物を狩る人が減っています。さらに放置された田畑では、野生動物が農作物を食べていても追い払う人がいません。
さらに民家の庭などに侵入しても反撃されることがないため、野生動物の警戒心が薄れているのです。こうした環境で育った野生動物が、「人間は脅威ではない」と判断し、堂々と人間の居住エリアに出てきているのです。
害獣を放置するのが良くないことだとわかってはいるものの、どうしても駆除するのは抵抗がある方もいるのではないでしょうか。この「かわいそう」という気持ちは、害獣駆除に関する誤解から生まれているかもしれません。
先述の通り、害獣駆除には野生動物との共存を目指す目的もあり、野生動物を守るさまざまな取り組みもなされています。具体的にはどのような取り組みがあるのか、くわしく解説します。
害獣駆除に抵抗を覚える理由として、「駆除=殺処分」と考えていることもあるのではないでしょうか。
しかし、害獣駆除といっても、むやみやたらに殺処分をおこなうわけではありません。最近は、生け捕り後に放獣(ほうじゅう:山奥などの野生動物の生息域に解き放つこと)することが増えています。
さらに野生動物が再び人間の居住エリアに戻ることがないように、花火などを使って人間の怖さを教える「学習放獣」を実施するなど、できるだけ殺処分に頼らない取り組みが広がっています。
そもそも日本には「鳥獣保護管理法」などの野生動物を守る法律があり、害獣とされる野生動物であっても好き勝手に駆除することはできません。
一部例外はあるものの、ほとんどの野生動物は、駆除をするにあたって自治体の許可を得る必要があります。こうして不必要な狩猟を防止することで、野生動物の命を守っているのです。
害獣がわざわざ人間の近くに棲みつくのは、エサが豊富で安全な心地よい環境が手に入るからです。つまり「害獣に棲みつかれた場所=害獣にとって理想的な環境」であるため、いくら駆除しても害獣が戻ってきてしまいます。
害獣が戻ってきたら、再び駆除作業をおこなわなければなりません。すると人間側にも動物側にも負担がかかることから、害獣駆除後の再侵入を防ぐ環境づくりも重視されています。

野生動物と共存するには、人間と動物のエリアをしっかりと線引きし、お互いに踏み込み過ぎないようにすることが大切です。線引きのための方法として、以下の3つがあります。
それぞれの具体的な方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
野生動物と人間の境界線を作る代表的な方法として、電気柵やネット、防護柵などがあります。田畑などを物理的に囲うことで、野生動物の侵入を防ぐのが特徴です。
いずれも原則として届出は不要ですが、電気柵は設置可能な場所に制限があったり、安全対策の徹底が義務づけられていたりします。また、高電圧の電気柵を設置する場合は、届出が必要になるケースがあるので、設置前に調べておきましょう。
罠を設置して、人里に降りてきた野生動物を捕獲する方法もあります。ただし、罠による捕獲・駆除をおこなうには、自治体の許可と「わな猟」の狩猟免許が必要です。
また、捕獲後の野生動物の処分方法も決められているため、個人で罠による対策をおこなうのは難しいでしょう。野生動物対策で罠を設置したい場合は、害獣駆除の専門業者に依頼するのがおすすめです。
野生動物と共存するには、家の中に入り込まれないようにすることも重要です。家に野生動物の侵入経路となりそうな場所があるなら、すべてふさいでおきましょう。
害獣の種類によっては数センチの隙間からでも侵入できるため、床下や屋根裏、壁のひび割れなどもチェックする必要があります。
ただし、野生動物の知識がない人が、小さな侵入経路を見つけ出すのは困難です。やはり、効果的な対策をおこなうには、害獣駆除業者を頼ったほうがよいでしょう。
棲みついた害獣を放置すると、建物や農作物などが甚大な被害を受けるため、どうしても駆除する必要が出てきます。害獣駆除に抵抗があるのなら、人間側が対策を徹底して被害が起こらないようにすることが大切です。
家への侵入経路をふさいだり、ネットを張ったりするのは自治体の許可なしでできるため、早めに済ませておくとよいでしょう。
とはいえ、害獣についての知識がないと正しく対処できず、害獣が棲みついてしまうことがあります。また、罠を使った捕獲は狩猟免許がないとできません。
無理に自力で対処するよりも、専門的な知識や資格をもつ害獣駆除業者を頼るのがおすすめです。TOPページから優良な害獣駆除業者を探せますので、ぜひご活用ください。